河合春近土地改良区の沿革

≪1≫ 設立や名称の由来

 旧用水を管理する組織として、明治26年設立の河合春近普通水利組合が存在しており、これを礎として昭和24年の土地改良法制定を受けた昭和27年6月25日に河合春近普通水利組合へと組織変更し、設立が認可された。
名称については旧名の河合郷と春近郷を用水受益地域としていたことに由来するものと思われる。

参考:旧郷時代の受益地名
旧河合郷 21ケ村

(吉田郡)山室、高屋、六日市。鷲塚、勝見、網戸瀬、中角(二日市) 以上 元河合村
天池、八重巻、稲多、古市、下森田、上森田、定正、寄安、石森(盛)、栗盛、上野、河合新保、漆原、以上 元森田村
(坂井郡)随応寺村(元春江町の一部)
旧春江郷 11ケ村
(吉田郡)二日市村

(坂井郡)高江安沢、田端、針原、金剛寺、松木、春近本堂、西太郎丸、東太郎丸、上村、(江留上?)元春江村、郷庄不知分
(吉田郡)江留下村(元春江村の一部)
※参考資料として各市町村誌

 

≪2≫ 用水再編事業の沿革

(1)国営事業の完了と新土地改良区の設立
 平成11年から、老朽化した開水路をパイプライン化する国営かんがい排水事業地区名九頭竜川下流が施工された
 関係市町村は福井市、あわら市、坂井市、吉田郡永平寺町であり、河合春近土地改良区の区域912haを含む九頭竜川下流域の水田10,309ha、普通畑1,231ha、果樹園102haからなる一大穀倉地帯の農業用水を再整備する巨大事業であった

 当時の本事業地区内の用水路は国営九頭竜川土地改良事業(昭和22~30年度)及び業県営九頭竜川土地改良事業(昭和28~47年度)で造成されたものであり、完成から相当の年数が経過しており老朽化が著しく、維持管理に多大な経費を要していた
これに加え、兵庫川左岸地区では都市化・混住化による生活雑排水等の流入による水質の悪化、川西地区では九頭竜川の塩水遡上による塩害、三里浜概地区においても地下水の塩水化による塩害、劔岳地区ではため池の枯渇により夏場の用水不足が生じる等、各地で用水利用に支障をきたしている状況であった

 そこで本事業をもって、各地区の開水路をパイプライン化し維持管理の軽減を図ることとし、限りなくロスの少ない用水配分が可能になることにより生じる水利権水量の余裕分を不足地域へ再配分するなどし、農業用水の安定供給を目指すこととなった
また、末端用水路の整備や区画整理を実施し、営農の合理化・複合化を促進し、農業生産性の向上と農業経営の安定を図るとともに地区内の農業用水が従来から有している地域用水機能の増進するなど、本事業の効果をより高める付随の事業が実施された

(2)県営かんがい排水事業(パイプライン工事)の施工
先述の国営事業と付随し、当区内でも県営事業により圃場のパイプライン化が実施された
西地区東地区合わせて約742haにおいて管網が整備され、圃場でバルブを捻れば鳴鹿から取水した冷涼な水がそのまま出てくることとなり、これにより用水に流入するゴミの問題やそれに伴う水質の問題に加え、用水不足が劇的に解消するすることとなった

(参考)県営事業の概要
県営事業西地区
受益面積:A=483 ha 事業費:1,822,609 千円 工期:平成21~27年
県営事業東地区
受益面積: A=259 ha 事業費:2,613,556 千円 工期:平成22~28年

(3)土地改良区の合併
国営・県営による用水再編整備事業によるハード面の整備が完了し、続いて体制整備が実施されることとなった
元来、河合春近土地改良区内には各町内ごとに5つの土地改良区が重複する県内でも非常に珍しい地域であったが、設立から約70年を経過し、運営体制の合理化や土地改良法改正への対応の為、合併の検討が加速することとなった
平成28年から合併に向けての聞き取り、意識調査に加え、合併検討委員会を設立し、各地区の事情等を勘案し、合併案をまとめ、令和4年1月31日をもって5土地改良区を吸収合併することとなった

○経過年次
平成28年~ 合併推進協議会の設立、協議
令和3年6月 合併予備契約書締結
令和4年1月31日 福井県知事認可

○合併した土地改良区名

解散前の
土地改良区名
受益面積組合員数
森田天池50.8 ha49 名
森田八重巻19.8 ha43 名
河合二日市47.0 ha52 名
河合山室89.2 ha95 名
福井川合鷲塚80.0 ha106 名
合計365.3 ha414 名